王子様はご主人様!?


「それでわざわざ追いかけてきてくれたの?」


「………」


「彰ちゃんらしいね……」


優しい彰ちゃんらしい……


あたしを心配する瞳なんか、全く変わってない……



「花梨、井之上とちゃんと話せ」


「……やだ」


やだよ……



「あたし、怖い……」


「何が…?」


「あたし、輝を怒っちゃったの……」


「それは仕方ないだろ?あんな写真みたら仕方ない…「違うのっ!あたしが悔やんでるのは、こんなあたしが輝を怒っちゃったことなのっ!!」


あたしに怒る資格はなかった……



「あたし、昨日汚れちゃったのに……なのに…「っ!花梨!しっかりしろっ!!お前は汚れてなんかいないっ!」


大きな声そう言いながら、手首を掴む彰ちゃん


「汚れてるもんっ!あたし……」


「チっ……」


――グイッ!


少しイラついたように舌打ちをして、そのまま彰ちゃんの胸へ引き寄せられた



……えっ



驚きと戸惑いがいっぺんに来て、ただ抵抗もせず胸の中に収まった


「花梨……大丈夫だから。お前は汚れてなんかねぇよ。大丈夫……」


何度も子供をあやすように「大丈夫……」といいながら、頭を撫でる彰ちゃん




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