無~夢~
人 人 人

犇めく中

青年はいた。キャリーバッグに全てを込めて。


変化が欲しかった


田舎で経験出来ない未知なる新しいかつ新鮮な経験を求めて。


彼の大学生活は順調に見えた。普通に友達を作り、普通のサークルに入り
彼は東京の郊外に住み。
彼は東京にも山がある事を知った。



~~歪~~~

彼は、東京での生活に順応しつつあった。
自分を東京人になったとも感じた。
しかし、彼は満足出来なかった。
自分を常に空白にする何か、その正体を掴みかねていたのだ。
彼は、今の状況に満足せず更なる変化を望んだ。
死すらも彼は超越出来る気がしていた。
今思えば、神が彼に与えたものは死よりも重く、不快な感覚だった。

そして、意識は移ってゆく。

雄亮 それが、彼に与えられたコードネーム
個体を識別するためのモノだった。

雄亮はさらに自らが崇高である事を望んだ。
深層心理で自分に操れない物は無いと。欲しいものは絶望。もっともっと、自分を歪め軋ませるナイフのように鋭く突き刺さり、チェーンソーのように抉られるもの。
人類の進化の可能性を自らの中に見ていた。
私こそが人類の進化形なのだと。
カルト集団でもなく、活動などしない
自らが唯一無二の生命体であると感じた。

誰か 誰か 誰か


私の心の水面に一石を投じて欲しかった。
どんな深い絶望でもどんな明るい希望でも
俺は受け入れられると。






いずれ神は、彼に絶望を与える。彼自身が歪んでしまうほどの。
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