ビターな彼に夢中[短編]
ソファーに座ると熱いコーヒーを出してくれた。

『ありがと…』


『ん…俺寝起きだから』

そういって智也くんは壁にもたれてコーヒーを啜った。


『…で、何か用?』


な…
何から話したらいいんだろう…


智也くんをみると智也くんも私を見ていた。


吸い込まれそうな瞳…

智也くん…


『智也くん…好き…』


好き…

大好き…


『逢いたかった…』


私の目から涙がこぼれた。

『この前は…ごめんなさい…』


智也くんはびっくりしたように少し固まっていた。


『本当に…ごめん…』


『……』


智也くんは無言だった。

しばらくして
智也くんはゆっくり私の方にきた。


コトン…
机の上にコーヒーを置く。

そのまま智也くんは
私と少し距離を置いて
ソファーに座った。


膝を台に肘をついてうつ向いている。

小さく息を吐いた。

そしてポツリと言った。


『俺も…すげぇ逢いたかったよ…』


智也くん…

声がかすれてる…


『智也くん…泣いてる…?』


私の言葉に
智也くんは顔をあげて私をみた。


『…俺が泣くかよ?』


でも
私を見る智也くんのその目は
あまりにも切ない目だった。


私は思わず智也くんに抱きついた。


『智也くん…好き…好き…』


言葉じゃ足りないくらい好き…


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