迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
……ん?
ふいに呟いたマドカ。
ひとりごとに聞こえなくもないけど…
「コウちゃん、覚えてる?」
俺に話しかけているみたいだ。
「前にも、こういうことあったでしょ?」
「え…?」
「ほら、春。私が入学してちょっと経った頃…」
同じく悟に頼まれて。
寝ている俺を呼びに来たとき…だとマドカは言う。
あー…そう言えば、
そんなこともあったかも。
記憶をたどりつつも、曖昧にしか思い出せない。
そんな俺とは対照的に、そのときのことをマドカは鮮明に覚えているらしい。
「コウちゃん、あのときもここで眠ってたよね。」
懐かしそうに話している。
「私、びっくりしちゃったよ。無防備にも程があるって言うか…」
そりゃそうだけど…
ここは滅多に人なんて来ないし。
開いてることさえ、知られてないと思う。
俺も、ここが開くことを知ったのは3年になってからだし…
ぼんやりと考えていると…
「だから、思わずあんなことしようとしちゃったんだよね。」
ぽつり、マドカが呟いた。
「あのとき、私…
コウちゃんにキスしようとしてたんだ。」