迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……はっ?」
キス…?
なんで?なんでマドカが俺にそんなこと…
「あ、もちろん、してないよ?寸出のところで思い留まったって言うか…」
戸惑う俺をよそに、理由を聞く暇も与えず、
マドカはマイペースに話を続ける。
「コウちゃんがあんな寝言言うから…止めざるを得なかったんだよ。」
「え?」
「名前…呼んだでしょ?」
「あ…」
「あのときは“さき”って聞こえたんだけど…あれは、“みさき”って呼んだんだよね?」
……っ!
思い出した。
前に、ここでマドカに指摘されたんだ。
“寝言で彼女の名前を呼んでた”って。
あのとき、俺は…
「寝言で呼んじゃうくらい、好きだったんだよね?」
「……っ。」
「いいなぁ、って。
私、あのとき羨ましかったんだよ?」
なんでそんなこと…
一番覚えていてほしくないことなのに…
カァッと。顔が赤くなっていくのがわかった。
「コウちゃんの“ファーストキス”は、みさきちゃんなんだよね?」