迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



「ちょっと待って、私…」



頭がついて行かない。

なんで急に?


そもそも、私はまだ“大学生”だし…



「俺、来年の春から転勤になるんだ。」



戸惑う私に“彼”はぽつりと呟いた。



「えっ?だって…まだ入社2年目とかだよね?」


「うちの会社は、それが普通なの。若いうちは地方で、キャリア積んだら本社に戻るみたい。」


「へぇ…」



って、私!感心してる場合じゃないよぉ。



「今日、正式に辞令が出てさ。」


「うん…」


「俺、性格的に“遠距離”とか無理だし。」


「だろう…ね」


「かと言って、このまま“さよなら”とかはもっと無理だし?」



……っ。

どうしよう?

あり得ないくらい、心臓バクバク言ってるよぉ。



「マドカは、うまい具合に就職先が決まらないみたいだし…」


「し…失礼なっ」



ムカッとしつつも、いつもの笑顔を向けられて少しだけ緊張が緩む。



「そしたらもう、手段は1つしかないじゃん?」



そのまま、笑顔で“彼”は言った。



「結婚、しよう?」


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