少数派の宴
「……あと1回だね。ずいぶん放っといたもんだ」
老婆が厳しい表情で言う。
<煙草屋>はそれに冷淡な笑みで応えた。
「この手のものは、棄てても戻ってくるもんでね」
言うやいなや、キーを回す。
車は嘶くように振動を始めた。
やはり、この農村には不似合いな音だ。
「じゃあ」
<煙草屋>は老婆にそれだけの挨拶をすると、すぐに発進させた。
「ああ。……じゃあね<トカゲ>ちゃん、しっかりやんな」
「ん、ありがとう」
<トカゲ>が神妙に頭を下げたのは、果たして老婆に見えたかどうか。
車に乗った覚えが無い<トカゲ>でさえ、荒いと思う運転だった。
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