少数派の宴
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何時代だ、ここは?
それが<煙草屋>の第一印象だった。
畑と平屋の建物に、天然素材の簡単な着物を着た村人たち。
まだこんな生活があるとは、と<煙草屋>は感心する。
「久しいね」
嗄れ声に振り向くと、腰の曲がった老婆が立っている。
そしてその後ろに、目を丸くした若者が1人。
「どうも。こっちは別世界だね」
<煙草屋>は肩を竦めて、車のエンジンを切った。
するとすぐに辺りは静寂に包まれる。
それが、どれほどここで機械音が異質かを浮き彫りにしていた。
「そいつが?」
<煙草屋>は若者を顎で示す。
「ああ、そうさ」
老婆が答えると、彼は興味深そうに男を眺めた。
「……結局、見世物じゃないか」
若者、<トカゲ>が呟いた。
瞬間、
風が、吹き抜けた。
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