「のーたいとる。」*アンパンマン恋愛バージョン
走って走って走って走って走って走って、どこまでも走った。
声が聞こえなくなれば、憧れのヒーローの前であるにも関わらずに叫んだ。形振り構わずに叫び散らした。
嗄(か)れた黒い姿の彼の声がする方へと走っていくのだ。そして。
「ばいきんまん!」
「どきんちゃんか! はっひっふっへっほー!」
黄色いマントのヒーローと一緒に酒を飲んでいる黒い姿の彼がいた。
子どものように手を振っている。
オレンジ姿の彼女は、すでに涙を堪(こら)えるのを諦めてしまっていて、怒り心頭で黒い姿の彼のもとへと近寄った。機嫌の良さそうな黒い姿の彼をひっぱたく。
「痛ってぇ、なにすんだ」
「バカバカバカバカバカ! どこに行ってたのよお!」
「しょくぱんまんはもういいのか?」
「言わせないでよっ! バカバカバカ!」
白い姿のヒーローは、黄色いマントのヒーローと一緒にどこかへ行ってしまったようだった。