「のーたいとる。」*アンパンマン恋愛バージョン


「それでね、今日はしょくぱんまん様と二秒も目が合ってたの!」

「そうかあ。良かったなあ」

「うふふふふ、これはもしかして、もしかしたら! 恋の予感?」

「はっひっふっへほー!」

黒い姿の彼は、ヒーローにやられてしまったUFOを修理している。

凹んでしまったり壊れてしまったり。自分の心と同じだ。

修理したいものは、UFOだけではない。


オレンジ姿の彼女はなおも続ける。

「明日はどんなことがあるかな? ばいきんまん、聞いてる?」

「……聞いてるぞ!」

「嘘。ばいきんまん、聞いてなかったでしょ」


拗(す)ねているオレンジ色の彼女。

頬(ほお)を膨(ふくま)らませ、いかにも、と言った様子でそっぽを向いてしまっている。

黒い彼は、少しだけ気になったので聞いてみることにしたのだった。

「なあ、どきんちゃん」

「なあに?」

「俺様としょくぱんまん、どっちが好きだ?」


オレンジ色の彼女の目が丸くなる。

何を想像しているのかは分からないが、彼女の瞳孔(どうこう)が開いていく。

そして微笑みながら言った。

「しょくぱんまん様、かなあ」

「そうか。分かった」

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