「のーたいとる。」*アンパンマン恋愛バージョン
やはり。分かりきっていた事だ。
もちろん、そう答えるだろうことは分かっていた。
しかし、やはり期待していた自分は否定できない。
これだけの長い間、時間を共有していたのだから。
「だ、だって! ばいきんまんはお風呂のぞくもん。しょくぱんまん様はそんなことしないわあ」
「はっひっふっへっほー!」
「あ、もうこんな時間かあ。おやすみ、ばいきんまん!」
彼女は跳(は)ねるように黒い姿の彼の部屋から出て行った。
UFOの修理はとっくに終わっている。
彼女の残り香だけが、部屋のなかにある。
寂しい、手の届かない、そんな彼女。
黒い姿の彼は機械的に部屋の明かりを消してベッドに潜(もぐ)った。
しばらくは眠れない。
そんなことは分かっている。いつものことだからだ。
彼女がこの部屋に来るのもいつものことだし、最後は一人になるのもいつものことだ。
寝返りを打った瞬間。黒い姿の彼はあることを思いついたのだった。
机の電気スタンドのスイッチを入れて手紙を書き始める。