ロバの少女~咎人の島
はじまり

「ミキ、早く行かないとお祭り終わっちゃうよ!」
「待ってってば」

小袖を振り回しながら、二人の女の子が走っていく

「ねぇ、慶太くんと待ち合わせたの何時よ?」

耳打ちされて、ミキの顔が赤くなる

「ヒューっ。ほんと、からかいがちがある。私はそれまでに、屋台五個回んなきゃいけないんだから。急いでよね!」
「もうっ!」

真っ赤になったミキが追いかけていく

境内の陰に、ミキを守る二つの影があった


これでいい
これでよかった

笑うミキの後ろ姿を見送り大きな影と、キジの面は闇に溶けた

チリン

「あれ?いま、鈴の音しなかった」
「どっかで売ってるんじゃない?」
「そっかな…」

ミキは不思議そうに境内を振り返った

「これ、レンが持ってて。」
「でもこれは!」
「会いに行くのに、必要ないでしょう?」
「うん」



「おいてくよー」
「えっ!あ、まって!」

走っていくミキの耳に、さっきの鈴の音がいつまでも響いた
チリン

「ミキ、どうか幸せに。」


この世のどこかに、海をたゆたう島があるという

島では、仮面を付け規則正しく暮らし
島民は、いつか世に帰る日を待っている
その罪が赦される日を待っている

人々に忘れ去られた島の名は、咎人の島
古い歴史の中に消えた島

    完
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