愛してるさえ、下手だった


夜十の機嫌を掻きまわすだけ掻きまわして、俺は外に出る。
扉を閉めた後、その扉にもたれかかるようにずるずると座り込んだ。

「バカだなぁ…」

どんなに罵られ続けても、彼の瞳は汚れない。
殺し屋という職業の中でも、あいつはどうしてか眩しかった。

その人間らしさを恐れたから、俺たちは今まであいつをバカにしてきたんだ。


本当にバカだったのは俺たちの方だ。
彼はどんなに汚れた世界にいても、自分の道を間違えてはいなかったのに。

充分だった。
夜十のおかげで、俺も自分の道を見つけることができた。


あとは行動に移すだけだ。


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