恋の教習所
私の元気と勇気が伝わった、かな?

「いいよ。今度乗ってあげるよ!」

やった!!
言ってみるもので、快く返事が返ってきた。

あの笑顔付きで。


「そうそう。更衣室一人?」

なんだろう?
村田さんが一緒だけど。

谷川教官の声が聞こえたのか

「私がいまーす。」

村田さんが中から返事をした。


そうしたら村田教官・・・教室から出てこっちに近づいてくる!!


どんどん私に近くなる。


近寄られると、改めて背が高いと思ってしまう。


「良いところにいた。村田さん、写真撮れたから持って上がってくれる?」

そう言えばさっき、写真が撮れたって言ってた。

教習原簿や仮免許、書類に貼る写真。

この写真を受付の人に渡して、まずは教習原簿に貼ってもらう。

写真がないと教習原簿は完成にならない。

それをいつもは自分で持って上がるのに、村田さんがいたから頼むことにしたんだ。


「いいですけど。ちょっと更衣室の中まで入って来ないで下さいよ。」

相変わらず村田さんは中から返事をする。

「おぉ!そうだな。っていうかオレのぞき趣味はないから。」

誰もそんなこと思っていないのに、また一人で自虐的な事を言っている。

そしてそのまま私を見て・・・・


「一ノ瀬さんお使いね。これ村田さんに渡してくれる?」

写真を私に差し出した。


お使い。
なんだか小さい子みたい。

でもそんなお使いが嬉しくて。

「はいっ!」

私は笑顔で受け取った。

村田さんがこの場所にいなかったらこんなに会話出来なかったかもしれない。


村田さん、ありがとう。


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