夜色オオカミ




それにしても



「なんか今日ざわついてない?」



あたしの気持ちを代弁するように萌花が言った。



クラスの中は、いつにもましてざわざわ落ち着きがない。



何人もの女子が固まって何だか興奮してるみたいに話してる。



「なんかあるのかな……?」



あたしがつぶやくと、



「ちょっと聞いてくる!」



そわそわしてた萌花がサッと席を立って、近くのクラスメートに話しかけに行った。



「……マジっ?そーなんだ…」



途切れ途切れに聞こえてくる萌花の声に耳を傾けて、一体何があるんだろうと首をかしげた。



そうこう考えていたら話を聞いてきた萌花があっという間に帰ってきて



「わかったよ!……転校生だって!」



「転校生……?その割には反応過剰じゃない?」



今だざわつく教室を見渡して、あたしは不思議でまた首をかしげた。



「ルリが職員室で見たんだって~。ちょーイケメン!」



萌花はにやりと笑ってあたしを見た。



「なるほど。」



イケメンねぇ……。



あたしにはあんまり興味ない話だなぁ。



きゃあきゃあとはしゃぐクラスメートをイケメンに興味を持たないあたしはぼんやりと見ていた。





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