夜色オオカミ




バ…ッ!!と互いに威嚇をしながら引く。



地面に着地するとどちらともなく態勢を低くし、次の攻撃に備えるかのように身構える。



二頭の狼の咆哮が轟く雷鳴のように辺りに響いた。



黒い毛皮の十夜の方が動きが俊敏なように思えた。



呪いで力を得ているとはいえ、やっぱり黒き狼の能力は桁が違うのかも知れない。



けれど、積極的に喉元を狙って食らいつこうとする紫狼である紫月さんに比べて…十夜はそれをかわそうと防戦が主だ。



けして喉は狙わず、足や肩を狙う。



一瞬の隙をつき、十夜が紫月さんの左の後ろ足に噛みついた。



「ギャウ……!!」



紫月さんは痛ましい鳴き声をあげ、すぐに十夜を燃えるようにギラギラとした瞳で睨み付けた。



ウウウ…と地の底を這うような低い唸り声をあげながら鼻先に深いしわを寄せ、剥き出しになった赤黒い牙が嫌に光っていた。








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