夜色オオカミ
「……っ…」
唇を開いてみるけれどぶるぶると震えるばかりで、一向に声なんか出てこない。
小さな部屋の一室で、周りの音は全て…自分の酷く大きく響く心臓の音にかき消された。
それでも目だけは必死に、十夜の姿を追っていた。
瞬きを忘れてしまった瞳から涙が溢れて止まらない……。
殺されてしまう。
血を見た瞬間、あたしの頭をその言葉が支配した。
震える身体を無理矢理起こし、あたしは無我夢中で縺れるように外に向かって扉に手をかけた。