記憶の欠片

その男の子の手に握られていたのは、私が大事にしていたストラップだった。

「あっ…はい、そうです。ありがとうございます!」

「いいえ。あなた、見た目からして、物落としたりしそうですし。気にしてないです。」

「なっ…………!」

「じゃあ。」


……前言撤回。
なに、あの失礼な人。
普通、初対面の人にあんなこと言う!?
可愛い顔とか思った自分が情けない…






「ちょっと聞いてよ、香奈!」

「なに、イライラしちゃって。どうしたの?」

私は香奈にさっきのことを話した。


「それって、…二宮修也じゃない?ほら、1つ下で、顔が整ってて、一部の女子が今、すごく騒いでる子!けっこう有名人だよ?」

「嘘、知らなかった!絶対、顔に騙されてるよ!!性格は失礼極まりなかったし。」
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