いつまでも君を見ている
思わず声を漏らしてしまう。

ちょうど夕刻で夕日が沈む。

夕日が水面に映り、丸いような、丸くないような形になった。

普段は青い海だが、今はオレンジ。

とても綺麗だった。

「……行きたかった場所って、ここ?」

伊勢谷は黙って頷く。

私は波の音と風の音を聞いていた。

とても、静か。

今はシーズン前だから人がいなくて当たり前だが、人がいなすぎる気がする。

でも、そんなことは忘れていた。

忘れてしまうほど、綺麗見とれてしまった。

「ありがとう」

伊勢谷に向かって礼を言う。

ゆっくり向いた伊勢谷の顔に写ったのは優しい笑顔だった。

「…やっと、笑ったな」
< 216 / 240 >

この作品をシェア

pagetop