ため息に、哀
それから、薄の発言に背中を押されたように次々とみんなが高橋先輩がいかに素晴らしい人間性を持っていて、信念を持って部活に取り組んでいるかを競うようにして話しはじめた。
その後のことは割愛。
ただ、岡田先輩だって本気で高橋先輩のことをなにもわからないマネージャーだなんて思っていたわけじゃないことくらい、みんなわかっていた。
だから誰も、岡田先輩を責めたりしなかった。
次の日から引退までの数日間、高橋先輩は男子バスケ部の練習に参加しなくなった。
最後の時間を、女子部の方にすべて使いたいと、隼人先輩に本人が言ったそうだ。
忘れかけていたけど高橋先輩は正式には女子バスケ部のマネージャーで、男子部は手伝いということで入部はしていない。
だから、最初から自分を必要としてくれていた女子部に、最後は尽くしたいのだと。
それが理由だと、俺たちは聞かされた。
昨日のことが関係ないわけじゃないと思うけど、なんだか俺は、それでもいいと思えた。
だって、見かけた横顔がとてもすっきりとしていて、俺の好きになったあの微笑みを浮かべていたから。
それがすべての答えだと思った。