ため息に、哀

二人で仲良く話しながらこちらに向かってくる。

手こそ繋いでいないものの、以前より親密度が増しているのは間違いない。

俺はとっさに校門脇の楠の木の陰に隠れた。


須賀先輩なんか、顔がデレッデレでとろけそうで、幸せなのが伝わりすぎて見ているこっちが恥ずかしい。

高橋先輩も、いつもみたいににっこり微笑んでいるんじゃなくて、声を上げて身体を揺らして爆笑していて、見たことがないくらいに楽しそうだ。



いいなあ、と思った。

変にいちゃついてるわけじゃないのに、互いが互いを必要としているのがわかるというか、そんな関係が。


俺もいつか、誰かとそんな関係になれる日が来るのかな。

まだ当分はこうやって、少し離れたところから高橋先輩を見つめてしまうんだとは思うけど。




その時、近くから超音波のような不思議な音というか声がした。


「きいぃぃぃぃっ」


驚いて見れば、隣の木の陰から、俺と同じように先輩たちを見つめている人影があった。

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