ため息に、哀

「へー、やっぱ潤って高橋先輩のこと好きだったんだ」


薄が妙にニヤついた顔で俺を見てくる。



「ち、違うって前に言っただろ!」


説得力のない俺の言葉。



「あたしの目に狂いはないんだから! オノデラくん、亜美ちゃん先輩のこと絶対に狙ってた!」


デカい声で俺の淡い恋心を暴露する長谷川さん。

だから、俺はオノデラじゃなくてオノザキです・・・・。



下校する人たちが、校門前で騒ぐ俺たちを怪訝な顔で見ながら通り過ぎていく。

俺、こんな目立つことする人間じゃなかったはずなのに・・・・。

まったく、俺らしくない。



「もう、オノデラくん、ケダモノ!」


しかもどうしたことか、俺はこんな発言をする長谷川さんを、不覚にももっと知りたいと思ってしまったわけで。


平々凡々な俺の人生、どうやら前途多難な様子です。

そっとため息をついた。



        Fin.
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