楽園の炎
「ああ、あたし、自分がこんなに疑い深くて独占欲が強いなんて、知らなかったわ」

「普通ですよ、朱夏姫様のお気持ちぐらいは。誰だって自分の他に妾を持たれるのは、嫌なものです」

言いながら、セドナは朱夏からドレスを脱がし、傍のトルソーにかけた。
ようやっと苦しい衣装から解放され、朱夏は大きく深呼吸する。

「あ~すっきり。やっぱりあたし、お上品な格好はできないわぁ」

ばさばさと身体にまとわりつく下着の類を解きつつ、しみじみと言う。

「普通のお姫様は、いっつもこんな堅い下着をつけてるの?」

腰を締め上げるコルセットをぐいぐいと引っ張りながら、朱夏は感心しつつ言った。
衣装係長が、背中で縛っていたリボンを解き、コルセットを緩めてくれる。

「皆が皆、ではないでしょうけど。公の場に出ることがお好きな姫君は、慣れっこでしょうね。大体のお姫様は、着飾ることに興味を示しますので、こういう格好もそう嫌がられないのですけど。お身体の線を整えるためですから」

「へぇ。そういうものなんだぁ」

まるで人事のように言う朱夏の耳に、部屋の扉を叩く音が聞こえた。
同時に、低い声が朱夏を呼ぶ。

「朱夏。入るぜ」

「あ、ユウ・・・・・・て、ちょっと待って!!」

ぱ、と嬉しそうな顔になったのも束の間、朱夏は慌てて寝台の上に置いてあった、元の衣を引き寄せた。
今は、ほとんど裸なのだ。

「ちょ、ちょっとアルっ! これ、どうやって外すの? あわわ、何か変になっちゃってる」

わたわたと、いまだ身体に貼り付く何枚かの下着に悪戦苦闘しながら、朱夏は慌てて衣を被ろうとする。
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