モテ彼×ブキヨウ彼女


――その後の帰り道。


久しぶりに2人、肩を並べて歩く。


凪ちゃんからはちょっと前に「先に帰る」というメールが入っていた。


繋がれた手から神崎君の温もりが伝わってくる。


凄く……安心する。



駅までの道をゆっくり歩きながら、あたしは神崎君に訊ねる。


「ね、そう言えば、神崎君の誕生日っていつなの?」


これまでは、初めての恋に精一杯で余裕がなかったけど、やっぱり記念日とかは大切にしたいもんね。


だけど、神崎君の口から出た答えは……



「あ、オレ?

5月20日だよ」


「えっ!?」


すっ……過ぎてる!!


その頃はもう付き合ってたのに……。
あたし、何やってたの!?


「ごめん。あたし、気が付かなくて……」


――でも。

落ち込むあたしに神崎君が言ってくれたんだ。



「いいよ。

だって、また来年も再来年もあるだろ……?」


あたしは、この言葉を一生忘れないと思う。






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