モテ彼×ブキヨウ彼女


「小春ちゃんさ、あれでも元モデルで、知り合いにジュエリーデザイナーがいるんだ。

だから、その人に頼んで作ってもらった」


シルバーの指輪の中心には、10月の誕生石であるオパールがハート型に埋め込まれていて。


その左右には、小さな天使の羽がある。


神崎君はあたしの右手薬指にそれを付け、軽く口付けをした。


「左手は、もう少し先ね」


……そんなこと言うから、あたしの顔はますます涙でぐしゃぐしゃになってしまった。


そして……


2人きりの保健室で、あたしたちの唇が重なりあう。


あたしの勘違いで迷い込んだ迷路の出口にあったのは、目映いほどの幸せの光――。


「神崎君……」


「ん……?」


「大好き」


「うん……」



あたしたちは、すれ違った時間を取り戻すように、何度も何度もキスをした――。







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