モテ彼×ブキヨウ彼女
しばらくその場に突っ立っていたら、凪ちゃんがあたしのケータイをいじっているのが見えた。
「凪ちゃん…?
何やってるの…?」
「んー?返事。
はいっ、できた!!
頑張りなよ!」
そう言って、あたしにケータイを差し出し、ニンマリと笑う凪ちゃん。
あたしは、それに恐怖感を覚え、慌てて画面を確認した。
すると、そこには…
『送信完了しました』の文字。
「………」
とてつもなく、嫌な予感…。
震える指で、恐る恐る送信メールを開いてみた。
送信メール
20XX/04/07/10:20
To 神崎大二郎
Sub 円香です♪
―――――――――――――
もちろん行く!!
あたし、恋愛映画がいいな♪
―――――END――――――
「……。
なっ…
凪ちゃーーーん!!」
あたしはすでに涙目。
でも凪ちゃんは、面白そうにそれを見ている。
「大丈夫だって!
デートなんて、そんなに意識せずに普通にしてればいいんだから。
きっと、神崎君がリードしてくれるよ!」
―――凪ちゃんが、サラリと言ったこの言葉。
まさかそれが、あたしの初デートを騒がせる羽目になるとは、
この時はまだ、思ってもいなかったんだ―――…。