Hello my sheep
階段で目があった瞬間、一瞬、意識は周囲を忘れ、身体は思わず動きを止めていた。
一瞬で網膜から入り込んだ何かに身体を絡め取られたようだった。



こう言うのを一目惚れと言うのだろうかと、収拾のつかない頭が口走る。

だけどそれは今の私にとっては混乱して考えついた色んな事柄の中の一つでしかなくて、ぐるぐると考えを巡らしていることにしか気がいかなかった。


とにかく、心臓に普通の動きをさせてあげてほしい。























どれくらいしたんだろう、入学式が終わって、教室に移動する時間を利用して先生と奈緒ちゃんとさっちゃん、そして私にぶつかった宇木(ウキ)君とその時一緒にいた伊勢谷(イセヤ)君が様子を見にきてくれたけど、関島君は目を醒ます気配がなかったから中学校入って一番最初のHRはしかたなく欠席になった。

小学校が違った子達と顔を合わせる最初のタイミングは逃しちゃったけど、しょうがないか、とも思う。

また機会はあるんだろうし。



「入学式初日から災難だねぇ」


この保健室の主、瀬古(セコ)先生の言葉に私は苦笑した。
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