Hello my sheep
確かに、よくよく思い出して見れば、階段から落ちて、初対面の男の子に抱き締められたまま動けなくて教室に行けない、と挙げてみると少し災難な気もしてくる。

でも、

「結構、考えようによってはツいてるかも」

大怪我しそうだったところを助かって、入学初日からまず4人の同級生と関わりを持った事になる。



「ふふ、曲谷さんて変わってる」


瀬古先生がその中性的な顔をこっちに向けて笑う。
何歳なんだろう?



「ところで先生って何歳ですかぁ?」

「よくわかりにくいって言われる」



私もそう思う。

名前も一(ハジメ)って男の人みたいな名前だけど、先生は女の人だし。



「嫌じゃない?知らない男の子にそんなふうにされて」

「どきどきはしちゃいますけどぉ、結構平気みたいですね〜」


もともとスキンシップは嫌いじゃないし、男の子でも女の子でも抵抗はあまりない方だと思う。


「関島君結構イケメンだもんね。ハーフなんだって」

それは、納得。
だから顔立ちがハッキリしてるのかも。
そして瞳の色も合点がいく。


ギシッ、と椅子の軋む音が静かな室内に控えめに響いて、「ちょっと空けるね」といって先生はまた保健室を出て行った。

また、室内は私と彼のたてる音と時計の動く音だけになる。


緊張することに疲れてしまったのか、まだ胸は騒いでいるものの、軽く目を閉じると緩やかに意識が沈んでいくのを感じた。
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