こちら新宿中央署刑事課
 と問う。


「確か……あ、そうです。私が警察宛にタレこみのメールを送ったことを頻りに聞いてこられました」


「あなたはもしかして、辞めた元勤務先の情勢や内部で進行中のこと、それにバックに付いているフロント企業の村川グループについて、何かを知ってるんじゃありませんか?」


「ええ、わずかですが」


「私はあくまで所轄の刑事です。あなたに容疑が掛かっていたとしても署に本庁の人間がいる以上、すぐに逮捕することは出来ません。ですから、知ってらっしゃることは何でも遠慮なしにお話ください」


「分かりました」


 河北が頷き、花粉症なのか、ティッシュで二、三度鼻を咬(か)んだ後、話し始めた。


「私が前島社長から、今回株式市場で行なわれた株式の買い取りに関して、裏で働くよう仰(おお)せつかりました。それで株式を買ったんです。主にライバル会社のものを」


「……」


「時間外取引というのが株を買い占める際において一番有効な手段だと聞き、それを使ったんです。もちろん違法性の認識はありましたが」
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