【短】同窓会―episode 3―
そんな私に向かって、優しい笑顔を向けて秋山先輩は、言った。
「…嶋津、俺はな…
お前が、好きだったんだよ、ずっとな。」
「え……」
秋山先輩は、私に近寄り、抱き締めた。
勿論触れることはなく、少しだけ温かい空気に触れているような感覚。
嬉しさと同時に、秋山先輩が死んだことを確認させられたようで、悲しくなった。
「………ごめんな。
俺がお前を、幸せにしたかった…でも、無理なんだよな。
……お前を、幸せにするのは…多分、
水城蒼太だ。」
思いがけない名前を聞いて、私は秋山先輩を見上げる。
「水城…先生?
どうして、秋山先輩が、水城先生を?」
すると少し困ったように笑う、秋山先輩。
「あー…。
俺、死んでから今までずっと一緒にいた幽霊がいるんだけどさ。
水城蒼太は、そいつの元彼なんだよ。」
そう言われて、私は先日のことを思い出す。
「…みさき、だ。」
やっとわかった。
あの時、水城先生が行かないでって言った意味…。