【短】同窓会―episode 3―
「そう、未葵だよ。
蒼太に聞いたことあった?」
秋山先輩は少し驚いたように言った。
私はううん、と首を横に振る。
「前に寝言で言ってたの。
それを勝手に聞いただけ。」
そう言うとふぅん、と一応納得したように呟いた。
そこで気付いた。
「あ…」
秋山先輩は、徐々に足が見えなくなってきていた。
私の声に下を見た秋山先輩は、少し顔を歪めて、
「早いな…」
と呟いた。
もしかして、秋山先輩は………。
「また、私の前から消えるの?
…嫌だよ、そんなの…。」
渇いていたはずの涙がまた目に溜り始める。
行かないで。
子どもみたいに、でも何処かで叶わない願いとして、思っている。
行かないで。
行かないで。
初恋の人。
「……泣くなよ、嶋津。」
ポンと優しく肩を叩かれた気がする。
「お前はな、生意気で、偉そうで、後輩としては最悪だけどな…。
俺にとっては、可愛い、大好きな女なんだよ。
だから、泣くなよ。」
秋山先輩は、飛び切りの笑顔を見せた。
その顔は、段々と薄らいで……。
見えなくなった。