独身マン
「結納金だって私達が出したんだからねー」


「わかってるって。 もう黙ってよ」



すると叔母は息子を指しながら、正義という壁に言葉をぶつけてきた。



「ねー、酷くない? 黙ってだって! これが親に言うセリフって感じー?」


「・・・あ~」



正義はにやにやしながら返事をしようとしても、彼女にとって正義はただの壁でしかないのだ。



「もぉー! 結婚式だって別にムリして挙げなくていいんだよ」


「おい、うるさいよ」



ココで叔父がやっと口を開いた。 よくしゃべる妻をうっとうしそうに、でも関わらないように、テレビとにらめっこ。



「うるさい? だってうるさくもなるよ! みんなお金ないんだから! こっちから式に呼ぶのは3人だけだよ」


「は? 何いってんの?」



叔母は大樹の結婚式に、田端家の親族は3人しか呼ばないといっている。 本当に意味の分からない人だ。



そんなとき、正義は思う。



(こんな人でも結婚できるんだな・・・。 だったら俺の方がマシじゃん・・・)




上には上がいる。
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