独身マン
次の日。



正義は昨日のさえに送ったメールが気がかりだった。 仕事の日ほど朝が眠い正義だが、今日は一段とそれが強い。



(あ~あ・・・。 俺って大ばか者だ)←ホントだよな。



さえはあのメールを見てどう思っただろうか。 いや、それよりも春海の番号を消してしまったことが悔やむ。



(あーあ! いいもんね~。 勝手に砕けろってんだ!)



何が起こったっていつものことさ。 そう思うしか無い。 そしてかけぶとんを大げさに払い飛ばすと、ベッドから「うっし!」とかけ声とともに起き上がった。



(だいたいさー、俺も悪いけどアイツらだって悪くねー? 仲良くするきがないだけじゃんかねー? 嫌な人間だよ。 あー! 最低)




正義マメ知識
その28


自分を正当化しようとするあまり、心の中で、いったい誰にか知らないけど会話口調で思う奴。



(シカト、シカト。 お金のために俺は働くのさ~)



自分を勇気付けるため、正義は無駄にふけない かすれきった口笛を吹いて、身体を左右に動かしながらスーツに着替えた。



(だいたい、誰にだって選ぶ権利はあるし~)



とさえが言ったせりふを、まるで自分が思い立ったかのように思う正義。 靴をはき、晴れ晴れとした冷たい空気の中へ。 車に乗り込み、キーを挿した。



そしてシートベルトをすると、座席にもたれかかる。



「・・・」



エンジンをかけるまで5分かかった。
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