独身マン
「浮気はいかんよ」


「え? そういう派?! 以外~」


「意味分からん!」と拓也は笑いながら投げやりな感じで答え、座席に深く座り込んだ。 そして急に深刻な顔つきになると言った。



「・・・どこかで、嫌われたら楽なのにって思うときがある・・・」


「・・・」



それは正義にもなんとなく共感できた。 正義がなかなか1歩前に踏み出せないのは、フラレて傷つくのが恐いからだ。



「僕も彼女(候補)に嫌われても、追いかけれないっていうかさ~。 こう、酔ったときじゃないと人と接するのも苦手だしぃ」



拓也は足元をみたまま答えた。



「・・・オレも言葉がヘタだ。 いつも、傷付けてばかりいるよ」


「・・・」




―・・・




(そうかそうか~。 モテル人でもそれなりに悩みがあるんだなぁ~。 イヤ、違うわ! モテルんじゃなくて遊び人や!)←自分で言って、悔しくなった。




その日はなんだか、自分と拓也が近いものに思えた正義。
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