独身マン
(よく考えたら履歴が残ってるじゃ~ん♪ あったまいい~♪)



正義はにやにや笑顔全開で発信履歴を開いた。



(あった、これこれ★)



どき、どき、どき・・・。



携帯を持つ手が汗でいっぱいになり気持ちが悪い。 心臓もドクンドクンと大きく動いている。



(大丈夫。 俺が悪かったんだから)



深呼吸を大きく一回すると、魔の発信ボタンを押した!



プ・プ・プ・・・ プルルルルルル♪



(どうか春海チャン出てくれ!)



もう春海と話したいことは、頭の中の春海と会話になって喋っている。



プツ。 『留守番電話サービスにつなげます』



「・・・」



正義は背中を丸め、ただ座り込んでいた。 ぎゅっと携帯電話をもったままだったから、いつのまにか携帯電話の画面は真っ黒になっている。



俺が悪かったよ。 だから・・・。



正義は溜め息を吐くと、また春海の電話番号を登録しなおした。 そんな自分が虚しいと思いながらも、どうか謝るから連絡が欲しかった。



「・・・」



朝がきても、くることもない春海からの電話を心の奥では待っていた。
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