独身マン
それから一ヶ月がたった。


2月に入り、やはり気になるのはバレンタインチョコレート。



「田端さん。 これ、食べます?」



さえがチョコチップクッキーをかばんからとりだすと言った。 彼女は本当にまだ子供のような女だ。 



今は6時30分で、正義を合わせて5人ほどまだ残っている。 美紀子とあかねはアフター5のジムに着いている頃だろう。



「こんな時間に食べたら夜ごはん食べれなくなるじゃ~ん!」



なんていいながらも、にやにや笑顔で手を出す正義。



「どうぞ」



さえは二枚クッキーをくれた。 そして「まだ勝手に食べていいですよ」というと、自分も一口かじった。



そんなとき 正義は思うのだ。



“どんなに自分が冷たくしていても、さえも春海も“普通”である”と・・・。
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