独身マン
『・・・もしもし』



春海に通じた! これは奇跡に違いない。



「あ! えっと田端だけど、暇だから電話してみた~! まさか出るとは思わなかったよ~」



心の準備ができていなかった“せい”で、わけのわからないことを言ってしまった正義。 だけど言ってしまった手前、もう取り消せない。



『はぁ・・・。 えっと、』



春海は言葉に詰まっている。 どうしよう・・・。 何を話したらいいんだ。



「いや~。 明日休みだしね~。 雪らしいよ~? どっか行くの~?」


『別にどこにも行かないです』


「あ、そうなんだ~。 さえちゃんとは遊ばないの~?」


『はい。 英さんと会ってると思います』


「は~。 やっぱそうなんだ~。 でもさ~。 友達より男かよ!って思わない?! 俺なら絶対ぜっこーだね! 俺のツレにも女、女、女って奴がいてさ~」


『それは仕方が無いですよ』


「へー、そうなんだー。 春海ちゃんは優しいね~(誉めておいて株をあげようとしている)」


『そうですかね~?』


「そうだよ~。 俺のならマジメガトンパンチだって」


『あはははは』


「(お、笑った)あ、てゆーか、明日はバレンタインじゃん。 まさか春海ちゃんもデートぉ?!」


『彼氏いないので』


「マジで~?! ま、俺もいないんだけどー。 あはははは!」


『あははは』



おっと! これは結構良い線いってるかも?!



※春海なりに気を使って笑ってるだけ。
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