独身マン
「田端さん」



声をかけてきたのはあかねだった。　あかねは席に座ってバーガーを食べていた。　正義に手招きをする。
たまに昼間、こうやって同じ飲食店で会ったりするけど、今まではあかねが“私に話し掛けるな”オーラを出されていたため、彼女の存在に気付いていても正義は声をかけれなかった。



それが今日はどうしたことだろう。　向こうから話し掛けてきたのだ。　



「あ、どうしたの～？」



俺、こんな美人と知り合いなんだよ～。　なんて、周りの人間なんか誰もみちゃいないのにそう思ってしまう正義。　にやにやしながら近づいた。



「ねー、春海ちゃんと付き合ってるの？」


「なんだ。　そんなことですか～。　よく最近きかれるんだけどね～（実際にはこれで２回目）。　うん。　友達だよ」


「そうなの。　座れば？」



おおっと!　こ、これは！



正義はドキドキしながら同じ席に座った。



「春海ちゃんと付き合っちゃえば？」



いきなりそっけない口調であかねは言う。　彼女は別に怒ってないけど、怒ってるようにも聞こえる話し方をする。



「え、え～！　なんっすか？　それ？」


「お似合いジャン」


「いや～。　春海ちゃんはなぁ」



そんな台詞、正義には言われたくない。

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