虫の影と夢の音
「もう、閉じ込めたりなんかしないから」
今さらそんな風に言われても、一人、部屋を出るのは怖かった。
滝崎がいないのに自分の行く場所なんて検討もつかなかった。
だからここにいるしかなかった。
襖の向こうで泣く声が聞こえる。
滝だろう。
でも美冬にはどうすることも出来ない。
「母様」
今日も獅子が美冬を呼んでいた。
今さらそんな風に言われても、一人、部屋を出るのは怖かった。
滝崎がいないのに自分の行く場所なんて検討もつかなかった。
だからここにいるしかなかった。
襖の向こうで泣く声が聞こえる。
滝だろう。
でも美冬にはどうすることも出来ない。
「母様」
今日も獅子が美冬を呼んでいた。

