“スキ”を10文字以内で答えよ



「お前さ、」


指は私の頬を摘んだまま、真顔でじっと見てくる。


負けじと睨むが、どうしても目だけは見れなかった。




……負けた。ただのイケメンを睨むのは無理だ。





「自分で『可愛くない』とか言うな」

「何ででひゅか」



ダメだ。今喋ったら笑い者になってしまう。


ほら、もう先生笑いそうな顔してる。




「お前、可愛いんだから。な?」



は?




「顔は俺好みだし、性格はすっげーひねくれてるけど、その分時々優しくしてくれたら嬉しいし、考え方に可愛いとか可愛くないとか、必要ないだろ?」



まぁ、そうかもしれませんね。



「十分可愛いし、だから甘やかしたいし、こんな面倒な事してまでお前と居るんだから。そんな事、もう言うな」





初めてかも。

おばあちゃん以外に、こんな事を言ってくれるのは。


思いの外、喜んでいる私が居る。



どうしよう、嬉しい。





「先せぇ、ありが……」

「ダメだ、無理。笑う……!」



……はぁ?




パッと指を離すと、私に背を向けてクックッと笑う先生。


何て人だろう。


こんな人の言葉で喜んでた自分が、馬鹿みたいだ。


いや、馬鹿みたいじゃない。



ただの、馬鹿だった。





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