“スキ”を10文字以内で答えよ



「おまじない」


そのたった一言で、私を真っ赤にさせる。


……何でこんな恥ずかしい事をやっちゃうのかなぁ、この人は!!



「馬鹿じゃないんですか?!私生徒ですよ?!!こんなの誰かに見られたら……」

「懲戒免職程度だろ?別にどうって事ねーよ」



しれっと「懲戒免職」と重たい言葉を口にされると、こちらとしてもやはり気が重たくなる。



まだ先生に掴まれた手をサッと離し、そのまま帰ろうとする私。




「ただでさえ高校生があんな小説を書いて、担当者が先生だってバレれば終わりですけどね」



ドアに向かって言っているが、これはあくまでも先生に対して。




「懲戒免職になって居なくなるなんて、そんな馬鹿な事、絶対にやめてください」

「それって、ずっと俺と居たいってこ……」

「おめでたい人ですね。……手当て、ありがとうございました。失礼します」





ガラリと後ろ手で閉め、走り出す。


何だか、先生に好きって言っているみたいだ。



恥ずかしい。


何これ。



こんな私、可笑しい。





「本当、おめでたいのはこっちの方じゃない……!」



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