純愛ヒーロー。


「ママ・・・?」





「あなた?


ねぇ、
ねぇっ、返事をしてちょうだい・・・っ!!」



「・・・どうしたの??


パパ?パパがどうかしたの??」




あんなに苦しそうなお母さんの顔を、


一度も見たことがなかった。





「あ・・・・あぁ



椎野、なんでもないわよ・・・。




少しお留守番していてね
すぐ、ママ戻ってくるから」





「・・・・う、ん・・。


わかった」





「おりこうさんね、椎野。


少しだけ、まっていてね。
すぐに戻ってくるから」








近くのコートを手にとって、

バックには財布と手帳とハンカチ。



あのハンカチは、
どれだけの涙を吸い込んだのだろう。



< 4 / 42 >

この作品をシェア

pagetop