純愛ヒーロー。
「ママ・・・?」
「あなた?
ねぇ、
ねぇっ、返事をしてちょうだい・・・っ!!」
「・・・どうしたの??
パパ?パパがどうかしたの??」
あんなに苦しそうなお母さんの顔を、
一度も見たことがなかった。
「あ・・・・あぁ
椎野、なんでもないわよ・・・。
少しお留守番していてね
すぐ、ママ戻ってくるから」
「・・・・う、ん・・。
わかった」
「おりこうさんね、椎野。
少しだけ、まっていてね。
すぐに戻ってくるから」
近くのコートを手にとって、
バックには財布と手帳とハンカチ。
あのハンカチは、
どれだけの涙を吸い込んだのだろう。