未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
長い睫毛が影を落とした横顔に見とれちゃう。そんな場合じゃないのに………。
「じゃあ、昨日説明した……」
顔を上げた辻之内は、あたしの視線に気づいて言葉を止めた。
「どうかした?」
「え? あっ、ううん」
……もうっ、なにやってんの。見すぎだって。
笑ってごまかしたら不思議そうに見つめられた。その表情に、また目が離せなくなる。
ここまで顔立ちが整っているのって、かなり罪だ。
だって、今日も変わらずキラキラな瞳は、油断してると吸い込まれそうだよ。
「ね、ねぇ、聞いていい?」
脱線してた心の内側をごまかしたくて、昨日彼の家でとったノートを取り出してパラパラと捲った。そして目に止まった文字を声に出した。
「これこれ、ベビーフェイス効果ってなんだっけ?」
「ベビーフェイス効果? えっと、丸顔で目が大きくて……」
そこへ、やかましい声達が乱入してきた。