未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
“ ベッドくらいしかない ”
昨日の言葉が頭の中を過りながら、辻之内の後ろを歩いた。
そして通されたその空間は、彼が言っていた通り、かなりシンプルなものだった。
ベッド以外の家具は、部屋の真ん中に置かれているラグマットの上のテーブルのみ。
そのテーブルがそら豆みたいな形をしてるんだけど、真っ黒でピカピカしてて。うちのママ風に言えば ”モダン” っていうのかな。
ベッドは、あたしの部屋のより格段にサイズは大きくて。
驚くほど何も無いけど壁にはいっぱい扉があって、きっとクローゼットとか全部備え付けになってる感じ。
王子様のプライベートルームに足を踏み入れたなんて、辻之内ファンに知れたら半殺しもんだね。
それから、やっぱり“彼女”っていないのかな?
いくらレポートの協力とはいえ、一応は女であるあたしを部屋に上げるなんて、あたしが彼女だったら嫌だけどな………。