未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

これ以上難しい説明されたってチンプンカンプンだから、話題を変えようって思った。


「辻之内もやっぱり大学は、心理学部へ進むつもりなの?」

「どうして?」

「ほら、辻之内のお父さんって大学で心理学を教えてるんでしょ? 暇つぶしに本を読んだだけ、なんて言ってたけど暗記してるみたいに詳しいし、辻之内も将来そっち方面に進みたいのかなって」


言葉を切ったそのすぐ後で、夜風が隣を歩く人物から漂う香りをさらい、あたしのもとへ落としていった。

それは、すっかり覚えたしまった匂い。甘すぎず爽やかな、いい香り。

辻之内がいつもつけてるこの香水って、なんていう名前なんだろ?

前は、男の人がそういうのつけてるのってあんまり好きじゃなかったっていうか……まあ、香りの種類にもよるけど。

それが最近では嫌じゃなくなったっていうか……何故か、なんとなく………。

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