未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

「睡眠中の夢の次は、将来の夢の話?」


クスッという小さな笑い声が隣から降りてきた。

その音は彼の香りのように心地良く、そして仄かに甘く、あたしの鼓膜をくすぐってくる。


「心理学なんて、大学へ行ってまで勉強する気はないよ。家にあった専門書を読み潰したのは、確かに暇つぶしのためだけ、ではないけどね」


彼の言葉には、何かが含まれてるように聞こえた。声には発していない別の何かを。


「理由があったの?」


訊き返すと少しの沈黙が訪れて。
隣をうかがい見上げたら、めずらしく困ったような表情を浮かべ、たいした理由じゃないよと言った

それから、軽く笑みを浮かべ続けた。


「It is secret. And, because it is my weak point. It speaks in the course of time. 」

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