未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

さわやかな夏の風に包まれながら、胸がキュッてしてる。

腰にまわした腕をどうしても意識しちゃう。

細いくせに筋肉もちゃんとついてて……シャツを纏った背中を見つめていると、彼が男であることを意識しちゃう。

いつもの香水の香り、触れてる部分から伝わる体温。


なんだろ? こんな気持ち。

胸の中がザワつきながら、でも落ちつくような……。


「時田ー?」


不意に辻之内が言葉を発した。


「なにー?」

「スカート、大丈夫ー?」


その言葉に思った。

スカートが捲くれないか気にしてくれてるのかな、って。


「大丈夫ー!」


優しいな、なんて思うと自然と口もとが緩んじゃう。

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