未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
ガタンッ
ゴンドラが、揺れた。
そして、ガチャって音がして──
「おつかれさまでしたー」
能天気な声と共に現れたおじさんの笑顔。
全身から一気に脱力。
あたしは大きく息をついた。
だよね、7分って言ってたもんね。やっぱり短いかも……。
ホッとしたような、ちょっとだけガッカリしたような、なんか変な気分。
ゴンドラを降りる時、辻之内が手を貸してくれた。
その時にね、聞こえたの。
周りの騒がしさに消されそうだったけど、でも確かに聞いたんだ。
耳もとで囁かれた、その言葉を。
「惜しかったな」……って。