未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

ガタンッ


ゴンドラが、揺れた。

そして、ガチャって音がして──


「おつかれさまでしたー」


能天気な声と共に現れたおじさんの笑顔。

全身から一気に脱力。
あたしは大きく息をついた。


だよね、7分って言ってたもんね。やっぱり短いかも……。

ホッとしたような、ちょっとだけガッカリしたような、なんか変な気分。


ゴンドラを降りる時、辻之内が手を貸してくれた。

その時にね、聞こえたの。
周りの騒がしさに消されそうだったけど、でも確かに聞いたんだ。

耳もとで囁かれた、その言葉を。

「惜しかったな」……って。


< 183 / 406 >

この作品をシェア

pagetop