未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「湊、あたし思うんだけど」
電話の向こうでリカが言う。
「なに?」
「辻之内って湊に気があるんじゃない?」
唐突になにを言いだすかな、リカちゃん。
「そんなこと、あるわけないよ」
「いや、あるね」
だってさ、あの辻之内だよ……?
「ないよ絶対」
「だって、いくら心理学に詳しいからってそこまで手伝ってくれないよ。わざわざ電車に乗って違う街まで行ってまで付き合ってくれないんじゃないかな、フツー。
それに部屋にあげるなんて、好きなのかそれとも下心があるかどっちかじゃないの?」
………下心?
その時あたしの頭に浮かんだのは、寝ぼけ眼の辻之内にギュッてされたときのあのシーンだ。
「どうして下心でかたまってるの?
もしかして湊、辻之内となんかあった?」
「へ?
ないない! そんなことあるわけないよっ!」