未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

ここは立ち入り禁止の旧校舎。

しかも、夏休み中なんだ。

見つかったら面倒なことになる!


目を合わせたあたし達は、小っちゃく頷き合って同時にしゃがみ込んだ──

まさに危機一髪!!


「なんで窓が開いてるんだー!」


教室の入り口に現れたマッツンの声がした。

横にビッグな体のマッツンが、ふーふー息を吐きながらこっちに近づいてくるのがわかる。

ヤバい! 窓を閉めにくるんだ。


「時田、こっち」


声を潜めた辻之内が、後ろからあたしを抱きかかえるようにする。

そんな事態にアタフタしそうになったけど、今はドキドキしてる場合なんかじゃない。

姿勢を低くしたまま、急いで教卓の裏へ滑りこんだ。

< 198 / 406 >

この作品をシェア

pagetop