未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
ここは立ち入り禁止の旧校舎。
しかも、夏休み中なんだ。
見つかったら面倒なことになる!
目を合わせたあたし達は、小っちゃく頷き合って同時にしゃがみ込んだ──
まさに危機一髪!!
「なんで窓が開いてるんだー!」
教室の入り口に現れたマッツンの声がした。
横にビッグな体のマッツンが、ふーふー息を吐きながらこっちに近づいてくるのがわかる。
ヤバい! 窓を閉めにくるんだ。
「時田、こっち」
声を潜めた辻之内が、後ろからあたしを抱きかかえるようにする。
そんな事態にアタフタしそうになったけど、今はドキドキしてる場合なんかじゃない。
姿勢を低くしたまま、急いで教卓の裏へ滑りこんだ。